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2-1 著作権と特許権
著作権と特許権の違い
著 作 権 特 許 権 ・創作的に表現されたものを保護する。
・登録などの手続きをしなくても、著作物を創作した時点で権利が発生する。・発明、すなわち技術的な思想(方法やアイデア)を保護する。
・特許庁へ出願し、審査後に登録をして初めて権利が発生する。
コンピュータのプログラムやデータベースも基本的には、小説や音楽などの著作物と同じように著作権法で著作者の利益が保護されている。
プログラムは、著作権法以外にユーザと著作者の間で締結される使用許諾契約などによっても保護されている。
データベースは、その情報の選択又は体系的な構成に創作性のあるものが著作物として保護される。
著作権法上の用語 ・プログラム … 電子計算機を機能させて一の結果を得ることができるようにこれに対する指令を組み合わせたものとして表現したものをいう。(著作権法第2条第1項第10号の2)
・データベース … 論文、数値、図形その他の情報の集合物であって、それらの情報を電子計算機を用いて検索することができるように体系的に構成したものをいう。(著作権法第2条第1項第10号の3)
・著作物 … 思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。(著作権法第2条第1項第1号)
・著作者 … 著作物を創作する者をいう。(著作権法第2条第1項第2号)
2-2 著作者の権利
(1) 著作者人格権
著作者の人格的利益を保護する権利である。
@ 公表権
(著作権法第18条)未公表の自分の著作物を公衆に提供したり提示するかしないかを決める権利 A 氏名表示権
(著作権法第19条)著作物を公表するときに著作者名を実名や変名で表示するかしないかを決める権利 B 同一性保持権
(著作権法第20条)自分の著作物の内容や題名を自分の意に反して改変されない権利
(2) 著作権に含まれる権利(主なもの)
著作者の経済的利益を保護する権利(財産権)である。
@ 複製権
(著作権法第21条)著作物を複製(コピー)する権利 A 放送権
(著作権法第23条)著作物を放送したり有線送信する権利 B 貸与権
(著作権法第26条の2)著作物の複製物を貸与する権利 C 翻案(ほんあん)権
(著作権法第27条)著作物を翻訳、編曲やその他翻案する権利
その他翻案とは、既存の著作物を元にそこに新たな創作的行為を加えることソフトウェアのバージョンアップなども該当する。
(3) 著作権の有効期間
著作権法上の権利には原則として一定の期間が決められており、これを保護期間という。この期間の終了後は、その権利が消滅する。
原則として、著作者が著作物を創作したときから始まり、著作者の生存中とその死後50年間を保護期間とする(著作権法第51条)。
ただし、無名・変名の著作物、団体名義の著作物については公表後50年間、映画の著作物については公表後70年間を保護期間とする(著作権法第52〜54条)。
保護期間の計算は、著作者が死亡した日または著作物が公表された日のそれぞれ属する年の翌年から起算する(著作権法第57条)。
例 「羅生門」や「鼻」などの著者である芥川龍之介(1892年3月1日〜1927年7月24日)の国内での保護期間が終了し、著作権が消滅するのはいつからか。
答 没年が1927年7月24日であるので、翌年の1928年1月1日から起算する。
1928 + 50 - 1 = 1977 ・・・> 1977年12月31日までが保護期間となる。
したがって、著作権が消滅するのは、1978年1月1日からである。
青空文庫 http://www.aozora.gr.jp/ 青空文庫は、無料公開のインターネット電子図書館である。 青空文庫には、著作者の死後50年以上を経て著作権が消滅した作品と、著作権者が公開に同意した作品が収録されている。 |
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