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デンマーク 150年前、デンマークの詩人N.F.S.グルントヴィッヒは、デンマークを「富家が少なく、貧民はさらに少ない国」と描写しています。この言葉はいまもなおそのまま当てはまります。デンマークは福祉国家で社会が国民の一人一人に広い範囲にわたる責任を持ちますが、特に教育、保健、社会保障では万全を期しています。富の差別なしに、国民はすべて政府のやっている機関を利用することができ、男も女も非常に自由に生活を営むことができます。これら機関の運営経費は納税者がそれぞれの経済力に応じて負担しますので、これが経済的、社会的 格差の解消に大いに役立つのです。 デンマークの生活水準の高さは、農産物と工業製品の莫大な貿易量に支えられています。この囲の総生産量の約3分の1が世界各地に輸出されているのです。今日では、日本はデンマークにとつて、第二番目の大きな貿易国であります。 集約的な土地耕作、広い範囲にわたる相互協力、一貫した教育と訓練などによって、デンマークの農業は品質が良く、しかも均質な畜産物を生産し、長年にわたって世界的な名声を維持してきました。近年、農業を捨てて都市の産業へ移る農民や農場主が増えていますが、機械化やその他の生産手段によって、農業の生産性を向上させることができますので、従来の生産量を保ち、デンマークは依然として、世界の主要な農産物輸出国という地位を保っています。農産物の輸出量は農産物総生産高の70%にあたり、今日1500万人の消費する食料品を賄っていることになります。これはデンマーク人口の3倍に当ります。 この2〜3年間、デンマークの農産物輸出は、従来の市場のほとんどすべてにわたって、関税という障壁に突きあたっています。その結果、大きな購買力をもつ新たな海外市場の−−−たとえば、日本などの−−−開発がデンマークにとってきわめて重要なものになってきています。このような事情もあって、日本はすでにデンマーク食用鶏肉の第二番目の購入国になりました。 デンマークは事実、特別な天然資源をほとんどもっていませんが、労働力の専門化と効果的な訓練によって、大規模な加工工業を建設し、過去10年間爆発的な成長を遂げてきました。この発展は、国際的に経済活動が盛んになってきたこと、農業から大きな労働力が放出きれたこと、なかんずく国際貿易における制限が廃止きれつつあることなどによって可能となったのであります。国際的なレベルではGATTやOECDを通じて、また地域的なレベルではEFTAを通じて、デンマークは常に貿易自由化への努力を続けています。 デンマークの企業は、大量生産に努力するよりも、人間の技術と品質の良さが重要視される専門的な生産に従事する方がよいと考えられてきました。こうして古い伝統をもつ手工業−−−陶器、ガラス製品、銀製品、家具など−−−が近代的手工業に受け継がれ、世界各地の市場に輸出されています。また、デンマークのデザインは、今日多くの工業製品についても、注目すべき特徴になっています。デンマークの電子工業、化学工業、薬品工業もだんだん大量に国際市場に進出し、その輸出量は増大しつつあります。またノウハウや完成プラントの輸出もふえています。 もしデンマーク人が、ユトランド半島と400を越す島から成る自分の国を説明するとすれば、彼はいまでも大切にしている童話作家ハンス・アンデルセンの国であるというでしょうし、また、同時に形態と能率の良さという今日の要求にこたえる近代的な民主王国であるというでしょう。彼はまた、100年の芸術的伝統をもつロイヤル・バレエなどに見られる、根のふかい文化生活についても語るでしょう。こうした伝統は、また現代的な表現形式の基礎にもなっているのです。ちなみに、デンマークではあらゆる芸術に対して政府の保護があたえられています。
北大西洋の小群島フェロウ諸島も、デンマーク王国の一部を成し、国会に代表を送っていますが、住民は自らの議会と行政機関をもち、地方自治が大きな比重を占めています。 デンマークは多くの国際機関に加盟していて、主に国連加盟諸国の間の相互協力の促進に積極的な役割を果してきました。何年にもわたって国連のあらゆる平和維持の活動に参加し、また専門機関を通じて発展途上国のために大きな貢献をしてきたのであります。それに加えて、デンマークの平和部隊に属する青年数百人は、発展途上の国々に開発援助のサービスをしています。 |
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Copyright © 2003 Hiroshi Masuda