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スカンジナビア (パンフレットサイズ 約25%) |
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フィンランド フィンランドは、スカンジナビア兄弟国の中で二つの特色をもっています。一つはその言葉で−−−起源や他国語との関係は、日本語と同様に神秘的です−−−もう一つはこの国のユニークな地政学的位置であります。 フィンランドは、不死身の生命力で世界の人々を驚かせました。第二次大戦中、ヨーロッパで戦争に参加しながら占領を免れたのは、イギリスとフィンランドだけだったのです。フィンランドは戦争には破れましたが、主権は完全に保持しました。経済的に全くの壊滅状態に陥ったにもかかわらず、マーシャルプランの援助も受けずに、独力で復興して、現在では、オランダやオーストリアと肩を並べることのできるほどの平均収入を持つ高水準の福祉国家となりました。 誰も知っているフィンランドの中立政策は、国連のメンバーとして、とくに1969年1月以降は安全保障理事会のメンバーとしての活発な活動によって表現してきました。ソ連の隣国であるこの国は、非社会主義国と社会主義国との間にあって、平和共存が出来、かつ効果的な協力が出来得るという興味深い例を示しています。 フィンランドは、スカンジナビアの中で最も親密で最も古い友だちを持っています。この友だちは、文化や法律や社会や経済の面では協力者であり、体操やサッカーやスキーの競技などでは好敵手なのです。これらの関係は、スウェーデン語−−−ノルウェーやデンマークでも通じる言葉−−−を学ぶフィンランド人の増加によって助長され、また、フィンランドは少数ながら(7%)スウェーデン語を話す活動的な文化人や経済人のいることが助けになるのです。 フィンランドと他のスカンジナビヤ諸国との、相互の交通は盛んであります。フィンランドと、スウェーデンやデンマークを隔てている内海には、週に延べ300隻もの最新型カー・フェリーや客船が往来しており、船空機も日に30便を数えます。スカンジナビヤ諸国は、貿易の相手国としても重要な役割をもち、1968年には、フィンランド全輸出の17%をしめました。これはイギリスの20%に次ぎ、ソ連の15%の上でした。 日本人が、フィンランドと聞いてすぐに思いうかべるのは、おそらく機機工業ではないでしよう。しかしこの「60,000の湖のある国」の大部分が森林におおわれていること、それから、昔からの輸出品が森林関係の工業製品であることは多分ご存じでしよう。フィンランドはカナダに次ぐ世界で二番目の紙の輸出国ですし、合板製品では、日本をわずかに抜いて世界最大の輸出国であります。 それにもかかわらず、フィンランドは戦後、機械工業と造船業の拡張に多額の投資をしてきました。その結果、今日では全産業労働人口の3分の1が機械工業または造船業に従事し、この国の輸出の4分の1をしめています。 フィンランドが、優秀な技術を誇る製品に世界で最も強力なティーゼル・エレクトリック、エンジンを備た砕氷船があります。ヘルシンキのただ一つの専門造船所で、戦後建造された砕氷船の数は、世界中の造船所で造られた砕氷船の合計と匹敵するほどであります。製紙技術の分野でもフィンランドは、プラント設計と機械製造の両面で世界的に名声を挙げました。また、ラジオ、ゾンデを用いる大気層解析学、人工衛星からの受信設備方式、フィンランドの大規模な精銅工業が提供するノウハウによる精錬法は、やはり高く評価されています。日本でも、すでに操業中のものと計画中のものと合わせて六社の精銅会社のうち、五社までがフィンランドて開発された自溶精錬法を採用しました。
都市化や工業化が進んでいるにもかかわらず、フィンランド人は自然に密着しています。巨大な森林、自然のままの島、人をひきつける奥地の景色などは、人々にとってだんだん多くなるレジャーの時間を過すのにまことに好都合です。このようにして、能率のいい労働には人間らしい生活のリズムが調和されていくのです。 |
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Copyright © 2003 Hiroshi Masuda