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アイスランド アイスランドは日本と多くの共通点をもっています。どちらも島国であり、活火山や雪を戴く山々があり、漁業が住民の生活に重要な役割をもっています。 アイスランドのかなりの部分は火山地帯で、いたる所から湧く温泉は、地下のあまり深くないところに赤々と燃える溶岩があるという証拠です。火山地帯では、岩の割れ目に地下水が入り込むと(時には沸騰するほど)熱せられ、蒸気の圧力で地上に噴き出してきてきれいな滝になります。有名なゲイジールはこうしてできた温泉の一つであります。 この国の内陸部はほとんどが植物の育たない不毛の地で、ひろびろとした氷原と氷河が広大な地域にわたってひろがっています。アイスランドという名はここからきているのです。 アイスランドと日本の間には多くの類似点があるにもかかわらず、両国の生活条件には大きな差があります。103,000平方キロの土地に対し住民が200,000人以下というアイスランドでは、現在のところ土地不足などあろうはずはありません。人口過剰とか公害などの問題も全くありません。ほとんどの地域が人口稀薄です。しかし、ここ20〜30年間に首都レイキャビクが急激に発展し、現在ではこの国の人口の半分が首都及びその周辺都市に住んでいます。ここでは人々はコンクリート造りの、快適なモダンな家に住み、暖房は直接温泉を利用したセントラル・ヒーティングです。これが、レイキャビクの空気がまったく汚染されていないところから、しばしば「スモークのない」街と呼ばれる大きな理由であります。 アイスランドの生活水準は高く、他の西ヨーロッパ諸国や北アメリカに匹敵します。 また、アイスランドはヨーロッパで最も古い歴史をもつ独立国のひとつで、その議会が初めて開かれたのは西暦930年でありました。これは、今日では、世界最古の立法機関とされています。それまでは少数のケルト人の土地だったこの島に、スカンジナビアから最初の移民がやってきたのは西暦870年頃でした。スカンジナビア人のアイスランド征服の顛末については、アイスランド人がきわめて詳細な記録を蔵しています。これは他の何冊かの歴史書とともに1100年代に書かれたものです。これに続いて13世紀には、世界的に有名な古典、北欧伝説がアイスランドで書かれています。これは古代スカンジナビア文学にも並ぶものがないとされています。また最近では、アイスランドでも、ハルダー・ラクスナーが日本同様ノーベル文学賞を受けるなど、優秀な文学作品が続出しています。一方、1911年には独自の大学が創設され、科学の理論と実地の両方の各部門にわたる教育が行なわれています。ちなみにアイスランドの一人当りの書籍発行部数は世界最高であります。 漁業はアイスランド人にとって常に重要な生活手段でありましたが、沿岸漁業に限られていた小型漁船にかわって、大型モーター船が導入されるまでは、大規模操業などは考えられなかったのが、現在では、外海に乗り出して大規模な漁業が営まれています。アイスランドは北大西洋の最も豊かな漁場に取囲まれていて、魚類とその加工品が全輸出の90〜95%を占めています。最新式の装備と捕獲技術の助けを借りて、アイスランドの漁師は一人あたり年間平均200トンの魚を陸掲げします。海岸線に沿った大小の都市のどこにも冷凍工場が設けられています。
アイスランドの農業は国内の需要の大部分を満すことができます。過去2〜3年の間に、羊の毛皮と羊毛の生産に、集約作業が行なわれるようになりました。 かつては国の大きさに比べて住民が少ないことや河が多いことなどから、交通機関が充分でなかった点がありましたが、ここ数十年間に全国各地を結ぶ道路が建設され、ほとんどの水路にコンクリートの橋がかけられました。 その上、最近になって観光が重要な資源として注目をされるようになりました。アイスランド人は自国の船や航空機で−−−アイスランドは早くから大西洋横断航路を開いています−−−旅行者を自国まで輸送し、数限りない実に荘麗な景色をお見せしています。 アイスランドと日本は、非常に離れているにもかかわらず、貿易関係を結んでいます。アイスランドは日本から漁獲網などを輸入し、地球の反対側の日本にまで冷凍魚類を輸出しています。 |
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Copyright © 2003 Hiroshi Masuda